検査結果「異常なし」という盲点
東京都 藤木陽一 (31歳 男性) さん

原因不明の10日間の激痛。今思い出しても、恐怖感がよみがえってきます。私と同じ原因の患者が全国に多数おられるということを聞いて、敢て筆をとりました。四月の初旬、朝起きると、目が痛く、頭痛と吐き気をもよおし、歩いてもガクガクして振動するような異常な感覚でしたので、会社を休んでしまいました。その時は、疲労の蓄積か、寝違えによるものと軽く考え、熱めの風呂に入りましたが、出てから急に寒気におそわれてしまいました。

翌日になっても首から頭部にかけて痛みが続き、相変わらず吐き気も治まりませんでしたので、外科病院に行き、レントゲン写真を撮りましたが、異常が認められず、痛み止めの内服薬と湿布という治療をしてもらいました。病院から帰宅しても、症状は治まらず、夜中は痛みのため1時間おきに起きてしまい、朝まで7〜8回の嘔吐を繰り返すという苦痛の状態が続きました。

3日目になっても吐き気は同じようにもよおし、いっさいの飲み食いが出来ませんでしたので、内科病院で点滴をしてもらいました。しかし、ここでも体の触診はせずに、胃腸炎という病名がつけられ、吐き気止めの内服薬が出されただけでした。4日目になっても痛みと吐き気は容赦なく続き、薬は全く効かない情況でした。その日の夕方、過呼吸に見舞われ、手足が硬直してきたので、救急病院に運ばれ、点滴をしてもらいました。

5日目も同様に点滴を行いましたが、痛みと吐き気は軽減されるどころか、座薬という強い鎮痛剤が使用されました。ここで不思議に思ったのは、頭部や頸部が痛いといっているのに、どの病院でも決して体を触らないということでした。原因がわからないということは、患者にとって恐怖攻めです。何とか原因を探ってほしいのです。「このまま治らないのではないか」「重大な難病なのだろうか」という不安は体を衰弱させる一方でした。

結局、脳に問題があるのではないかということになり、翌日、脳外科で頭部のCTスキャンをとり、眼圧を検査しましたが、やはり異常は認められず、不安はますます募る一方でした。治療は座薬の連日使用ということだけで、他に手のうちようがなかったようでした。その翌日は、同じ脳外科で頭部と頸部のMRIを検査しましたが、やはり異常が認められないということでした。

鎮痛剤の効果は全くなく、後頭部の痛み、目の痛み、激しい吐き気はますますひどくなる一方で、しかも、この1週間何にも食べられない自分は衰弱して、このまま死んで行くのではないかとさえ真剣に考えるようになってきました。また一瞬「自殺して楽になりたい」ということも脳裡をかすめましたが、家族への迷惑を考えると、そんなことはとてもできることではなく、横たわったまま、ただ途方にくれていました。

そんな時、母親の思い出したのが与野健康プラザでした。うわさでは、東洋医学的観点から、体全身を検査し、手技により根本的原因から施療するということでした。多くの専門病院で治らない症状が、手技療法などで治るはずがないと内心思っていましたが、母があまり熱心にすすめるので、お世話になることになりました。治療師には失礼なのですが、正直言って「だまされたと思って行く」という心境でした。

人の体には多くのツボを直線で結んだ経絡というものが縦に12本あり、その経絡ごとに「気の測定」を行いました。その結果、体中の気が上方に移行しており、まさに「気が上がっている」状態なのだそうでした。逆に下半身は気の低下がはなはだしく、完全に上下で分離しているアンバランスな状態で、これを正常にもどすのが気の施療なのだという説明でした。

また、内臓の情報もわかるらしく、内蔵の活力が極端に低下しているとのことでした。次いで、全身を手により触診しましたが、その時、未だかつて聞いたこともない不思議な人間の体のつながりを知りました。まず第一に、「痛いとか痺れるというような症状は、体が訴えている赤信号という結果であって原因ではない。必ず他の部位に原因があるので、そこを施療する必要があるのに、現代医学やマッサージは結果である症状のみに関する部位を治療している。

それでは、逆に症状が悪化しかねない」。第二に、「人はストレスによりダメージを受ける部位がそれぞれ異なり、その部位を本人も気がついていないことが多い」ということでした。触診がおわって、ほぼ原因がわかったということを聞いたときは、本当に自分の耳を疑いました。下腹部、胸部、肩甲骨周囲、頸部などの異常硬結に基づく血流傷害によるものであろうというお話でした。

いずれもストレスが原因であるということでしたが、考えてみると最近、製造技術現場から営業販売に転勤したばかりで、慣れないせいかかなり体を酷使していたのです。直ぐに施療することになり、上記の硬結を取り除いた結果、驚いたことに1回の施療で頭痛と吐き気が消失してしまいました。しかし、今晩また悪化するのではないかという不安があり、手放しで喜べませんでした。翌日起こるであろう好転化反応の対処法を教えていただき、帰宅しました。

2日後、第二回目の施療をおこなったところ、体が軽くなり、食欲もでてきました。3日後には出社することができました。考えてみますと、病院の検査は、レントゲン、CT、MRIなど微視的観点から探査したもので、いずれも異常が認められませんでしたが、私の体は巨視的な組織の異常だったのです。病院に行く前にわかっていれば、こんなに苦しまなくてもすんだのにという思いです。